大判例

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山形地方裁判所 昭和39年(ワ)197号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決要旨〕判示事実関係のもとにおいて、本件融通手形の振出人は、特約上委託者に対して、その支払期日を履行期として、該手形金の支払につき責任を負担させないことを内容とする資金関係上の請求権を有し、委託者が右の義務を履行しなかつたことにより、振出人が手形金を支払わねばならなくなつたときは、委託者は右振出人に対し、債務不履行による損害を賠償すべき義務があり、然も前記特約の性質より考えて、遅延賠償については勿論、填補賠償の請求についても別段前記特約を解除する必要はないと解される。

〔判決理由〕融通手形とは通常、手形行為者が自己の需要を充足するためでなく、委託者のために金銭融通を容易ならしめることを目的として敢えて自から手形上の義務者となり、然も経済上終局的に義務者となるのではなく、委託者に於てその計算を負担すべき場合の手形であると説かれているところ、原告の主張によれば、原告は被告の委託に基づき金銭融通の途を得しむる目的を以つて別表第一記載の約束手形六通を振出したものであり、之に対応して被告は原告に対し、各手形の支払期日迄に振出人たる原告に代つて手形金を支払うか、又は手形を買戻して原告に迷惑を及ぼさないことを特約したと言うのであるから、その内部関係は、手形行為者たる原告が委託者である被告に対し、前記約束手形六通の各支払期日を履行期として、該手形金の支払につき原告に責任を負担させないことを内容とするところの資金関係上の請求権を有するものと考えるのが相当である。然るに、被告が約旨に反して右の義務を履行しなかつたことにより、原告は前記手形の所持人である訴外山形信用金庫より手形金請求の訴を提起され、その結果手形上の無条件、最終かつ絶対的な義務者として手形金を支払わねばならなくなつたものである以上、原告の手形金支払は被告の前記特約に関する履行遅滞に起因するものと認められる。従つて、被告は原告に対し、右債務不履行によつて原告が蒙つた損害を賠償すべき義務があり、然も、前記特約の性質より考えて原告が損害賠償請求権を行使するにつき、遅延賠償については勿論填補賠償の請求についても別段前記特約を解除する必要はないと解される。そして、原告が訴外山形信用金庫に支払つた別表第二記載の金員の内、元本に充当した分は填補賠償として、損害金に充当した分は遅延賠償として請求すべきものに夫々該当する外、訴訟費用の金一万五千円の支払も、被告の履行遅滞によつて通常生すべき遅延賠償の範囲内に属すると認められるので、被告は原告に対し合計金五十六万五千五百六十一円の損害を賠償すべき義務がある。又、債務不履行による損害賠償請求権は、填補賠償も遅延賠償も期限の定めのない債権として成立し、催告により始めて遅滞に陥入るから、催告の翌日より遅延損害金を附すべきである。従つて、被告は原告に対し、右金員に対する本訴状送達の日の翌日であること記録上明白な昭和三十九年九月四日より完済に至る迄民事法定利率の年五分の割合による遅延損害金を支払うべき義務がある。(石垣光雄)

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